わッつギャラリーでは、2022年9月28日(水)から10月9日(日)まで、中村澄雄さんによる展覧会「中村澄雄 四季の棚田写真展」(写真)を行います。
里山の風景を代表する棚田。
棚田の中に足を踏み入れると、子供の頃の郷愁をゆったりとした時間の流れが呼び覚ましてくれます。
人と自然の接点である棚田は、四季折々で多彩な表情を私たちに見せてくれる極上の空間です。
傾斜地にある棚田は過酷な労働が必要なため、めっきり休耕田が目立つようになってきました。
そんな棚田の保全のため、全国の価値ある棚田を棚田100選に指定し、後世に残そうとする試みがされています。
各地にある貴重な棚田の四季の魅力をご鑑賞ください。
中村澄雄
突然・偶然に浮かんできたテーマを元に写真を撮り始め、撮り尽した感が出てきたらテーマを次の新しいものに変えている(そのサイクルは毎回おおよそ7~8年ぐらい)。
高校時代より写真を始め、大学進学で浜松市に移ってからまず「灯篭」の写真を7~8年、次に「カラマツ」を7~8年、次に「橋」を7~8年、次に「棚田」をテーマに7~8年撮り続けた。
2013年頃より「水滴と花」をテーマに写真を撮り続けているが、仕事辞めて時間ができてからは同時に複数のテーマの写真を撮っている(「段戸裏谷原生林」「京都もみじ三彩」)。
個展(ギャラリーカフェわッつ)
・2014年08月 棚田と水辺の植物たち
・2016年09月 中村澄雄 棚田写真展
・2017年08月 中村澄雄 「橋」写真展
・2017年09月 中村澄雄 「花雫」写真展
・2019年02月 中村澄雄写真展 段戸裏谷原生林
・2022年02月 中村澄雄写真展 京都もみじ三彩
展覧会風景&作品たち
谷合いの霧に突き出した鯉池と棚田。山古志を代表する景色です。
早春の棚田は騒がしい。梅が咲き、谷の水が田圃を満たし、植物が一斉に芽吹き、多くの生き物が動き出す。温かみを増した春の日差しが万物を目覚めさせる。
今や能登の観光名所のひとつになってしまった白米棚田。
日本海の海岸の傾斜に広がるこの棚田は
棚田100選の中でも際立ったスケールと景観を誇ります。
山懐に抱かれた畑の棚田は新緑と澄み切った空気に満たされ、心洗われる極上空間です。傾斜地の各水田に平等に水を配るための水路、水田に均一に水を張るための畦道、
先人達の工夫をあちこちに見ることができます。
「下赤阪の棚田」(大阪府南河内郡千早赤阪村)
夏の棚田は逞しい。全開の生命力は強い夏の日差しを目いっぱい吸収。アザミが花開き、稲穂は色づく。イモリが這い出し、とんぼも羽化。広い棚田はすべての生物の競演の場と化す。
「秋の丸山千枚田」(三重県熊野市紀和町丸山)
秋の棚田は誇らしげだ。自然の恵みをいっぱいに受けて棚田は黄金色に輝く。春に芽吹いた稲は大地と四季の営みと人の力を借りて、最も晴れがましい舞台で誇らしげになびく。
「日引の棚田」(福井県大飯郡高浜町)
日本海の入り江にひっそりと位置する棚田。収穫が済んで畦道に咲く彼岸花がもの悲しい風景を一層際立たせます。
「千框(せんがまち)の棚田」(静岡県菊川市下倉沢)
あまりに広く、手入れができないため荒れてしまいました。そのため棚田百選には洩れてしまいましたが、近年見直され再びその威容を誇っています。
「晩秋の丸山千枚田」(三重県熊野市紀和町清水)
熊野古道の谷筋を埋める大量の霧が一気に谷を下る「風伝おろし」。「風伝おろし」の霧が残る棚田はたっぷりな水を大地に貯え、来る年の春と新しい命の芽生えに備える。
「夕日の白米千枚田」(石川県輪島市白米)
日本海に沈む夕日が広大な千枚田を紅に染めるとき、営々と繰り返す人の営みと穏やかな自然の移ろいが不思議な安らぎを醸し出してくれます。